クルマのミニ知識|法人様向けマンスリーレンタカー・短期カーリースのTBカーズ

クルマのミニ知識

保険や税金、法律

自宅で自動車整備が可能!? 訪問特定整備制度が2025年6月30日よりスタート

国土交通省では、整備工場に車両を持ち込むことなく、自動車整備士に自宅や自社に訪問してもらい自動車整備を行う「訪問特定整備」制度を2025年6月30日よりスタートします。
これにより今まで国の認証を受けた整備工場でしか行う事ができなかった特定整備が整備工場以外の場所で実施が可能となります。
自宅や職場で整備が完結し、時間と手間を節約できることが期待されています。
(特定整備とは、エンジンやブレーキ等、車を運転する上で重要な部品の分解整備や前方検知用カメラ、レーダー等の機器の取外しや調整をすることを指します。)

  • 自宅で自動車整備が可能!? 訪問特定整備制度が2025年6月30日よりスタート

制度のポイント

訪問特定整備の種類
作業場所の規模、設備等の要件により、「訪問特定整備」と「限定訪問特定整備」の2種類に分類されます。

■訪問特定整備(フルパッケージ)
訪問特定整備とは、作業開始日を含む連続した3日を超えない期間内(離島の場合は5日)で自社整備工場以外の認証工場の設備要件を満たす場所(運送会社の整備場等)において特定整備作業(分解整備、電子制御装置整備又はその両方)を実施することをいいます。
作業範囲は、運輸局長から認証を受けている種類の範囲内において、すべての特定整備の実施が可能です。
12ヶ月点検などの法定点検整備を行う事が可能になりますが、車検および車検に伴う整備は対象外となります。

■限定訪問特定整備
限定訪問特定整備とは、自社整備工場以外で認証工場の設備要件を満たさしていないが、安全・品質を確保できる場所(ユーザーの駐車場等)において特定整備を実施することをいいます。
作業範囲は限定されており、1.ブレーキパッドの交換 2.発電機交換 3.スターターモーターの交換 4.大型特殊車のステアリングホースの交換の4つのみを実施することが可能です。
限定訪問特定整備においては、特定整備を伴う法定点検整備や車検整備を行う事はできません。

訪問特定整備を行うためには
訪問特定整備は、認証を受けた自動車整備工場(認証工場)しか訪問特定整備を行う事ができません。
その責任は認証工場が負うこととなります。訪問する整備士ではありません。
また、運輸支局等への届出や教育体制の構築などいろいろな準備が必要です。
以下が主なルールとなっております。

■主なルール
訪問特定整備等を行おうとする際の運輸支局等へ電子メールでの届出
自社のウェブサイトに料金表を掲載
訪問特定整備等管理者の選任(整備主任者のうち少なくとも一人)
訪問特定整備士の任命(1級または2級整備士で3年以上の特定整備の実務経験)
作業場所は事業場の所在地から自動車で約1時間でいける場所、または事業場が所在する都道府県と同一都道府県内
ユーザーから依頼された訪問特定整備を他の整備事業者への再委託は禁止
作業に関する帳票類の保存(2年間)

  • 制度のポイント

問題点

全ての整備を受けるとなると認証工場と同等以上の工場設備が必要であり、ハードルの高さが懸念されます。
また車検や車検に付随する法定点検も受けることができません。
限定特定整備については、ユーザーの駐車場等の通常とは異なる場所で作業を行うためジャッキアップした車の転倒等のリスクがあります。
作業時に発生する油汚れ等の処理にも気を使う必要がありそうです。
ブレーキパッドの交換は可能ですが、ドラムブレーキのシューやライニングの交換等については記載がないためドラムブレーキの整備を行うにはフルパッケージでの整備環境が必要になりそうです。

まとめ

2025年6月30日より導入される訪問特定整備によってユーザーは整備工場に車を持ち込まなくても整備を受けることが可能になります。
整備の選択肢が増えることでより便利になることが予想されますが、問題点も少なくないようです。
利便性の向上、整備士不足の問題など今後の整備業界の働き方やサービスの在り方にも大きな影響を与えるでしょう。

担当:指宿

コラム

ページトップへ