集中豪雨による道路の冠水や、台風による河川の氾濫でクルマが水没したニュースをよく聞きます。
最近の大型台風やゲリラ豪雨による洪水で、実際に何十万台単位でクルマが水没しております。
まずは冠水した道路には入りこまないようにしてください。国土交通省 関東地方整備局のウェブサイトで、「道路冠水注意箇所マップ」が公表されています。
これは道路がアンダーパス構造で、異常な集中豪雨時に冠水する可能性がある箇所についてまとめたものです。日頃から、冠水しやすい谷間や窪地、アンダーパスなどを確認しておきましょう。
一般の乗用車ですと20cm位までならマフラーに水が入ることはないようです。道路の縁石(15cm位)が目安となります。
水面が縁石を超えた場合はすぐ引き返すようにしたいです。
勿論すぐにエンジンを掛けてはいけません。まずレッカーを呼んでディーラーか整備工場で見てもらいます。
特にハイブリッド車や電気自動車は高電圧バッテリーを搭載しています。水没時の対策がされていますが、専門家に任せましょう。
車両保険に加入していれば修理代が補償されます。ただし地震、津波、噴火によるものは保険金が請求できません。
マフラーの出口が水で塞がれると、燃焼済み排ガスが出されずエンジンが止まります。吸気を行うエアクリーナーからエンジン内部に直接水が入ると、エンジンは一瞬で破壊されてしまいます(ウォーターハンマー)。こうなると再びエンジンを掛けることは不可能です。
エンジンルームや室内には多くの電気系統配線があり、回路がショートしてエンジンが停止する事もあります。
フロアカーペットやシートが水を吸い込むと、カビの発生や細菌の繁殖で悪臭が発生します。また海水ですと塩分により、金属部分を急速に腐食させますし、大きなダメージとなります。
浸水深が深く冠水した道路を進んだ場合や川など水中に転落してしまった場合、エンジンルームが重たい車体は前へと傾斜してきます。
水圧は思った以上に強く、60cmほど水没しますとドアの開閉が困難となります。その場合はガラスを割って脱出します。
フロントガラスは中間膜が挟み込まれた合わせガラスでなかなか割れません。必ず強化ガラスのサイドガラスを脱出用ハンマー等で割って脱出します。
車内にある程度水が入ると、ドアの内側にも水圧が働き、ドアが開けやすくなります。
水没車は基本的に査定価格が0円です。廃車にする場合が多いのですが、買取業者に聞いてみるのもいいでしょう。
一部の水没車はパーツ取りを目的に業者から外国人バイヤーに落札されます。人気車種の場合は分解されず、国外に運ばれることもあります。
国内で再販の場合は水没車両が「冠水歴有り」と明記されます。いつトラブルが起こるか分からない為、「修復歴有り」よりも市場価値はぐっと下がります。
担当:武江